根を張るように営む

京都に行ってから三か月、場所に出会ってから一か月強の、2月3日に本オープンをした喫茶おおねこ。

(↑ プレオープンの1月27日。ネルドリップの最終調整をしました)

土壇場で準備をして、がちがちに緊張しながらのオープンでした。どんな手順で準備をしたのか、正直ろくに覚えていないくらい。今となっては30分もあれば終わる当日準備に、1時間半くらいかけていたことだけは覚えてる。

(毎週刊行の手書きの通信「おおねこ通信」。これは初日のもの)

寒いけど晴れた日。それはそれはおどろくほどたくさんの方に来ていただいて、自分でこう言うのも恥ずかしくないくらいに、「大盛況」だった。私はひとりで絶え間なくネルドリップを淹れ続けながら、合間であんことバターのホットサンドを焼いて、たまに紅茶を淹れて、お会計をして、洗い物をして、「おはようございます」と「いってらっしゃい」を繰り返し何度も言った。懐かしい顔も、いつもの顔も見れて、こんなご時世だのに会えて、話せて、おいしかったと言ってくれて、たのしくてたのしくて、仕方なかった。

正直、「繁盛店になる予感」がして、舞い上がった。

店じまいをして、喫茶おおねこにネルドリップを貸してもらったりコーヒー豆をおろしてもらっている、マスターのいるカフェに向かった。「どうだった?」と聞かれて「すっごく楽しかった、いっぱい人が来てくれた!」と言う私。売上金は?と聞かれて、売り上げた分をそのまま伝えたら「一日四時間でそれはすごいな・・・俺が喫茶おおねこやろうかな?笑」なんて言うマスター。

そのあとの言葉が私の金言となった。

「最初はわあっと人が来るもんだから、『そのあと』をよく見ときな。来続けてくれる人が、あんたの”お客さん”になっていくから。その人を大事にするようにね

ハッとした。マスターは自分で店を切り盛りして20年以上。山あり谷あり、来る人も離れる人もあったのだろう。実体験からくる重たい言葉だった。

根を張るように

きっと、根を張るように営んでいくということなのだろう。

見える部分の葉っぱや花がきれいであれば寄ってくる人は多いかもしれないが、葉っぱや花は季節とともに変化したりなくなったりする。

パッと見の価値に惑わされずに、辛抱強く、気長に、ちいさな仕事をしていければいい。

(初日、てんてこまいの私)

これがわかると急に肩の力がふっと抜けて、そこからはお客さんがたくさん来てくれた日も、ひとりぼっちでお店にいる時間の多い日も、凪のような心持ちでいることはまだまだ難しいのだけれど(たくさん来てくれたらうれしいし、誰も来ないと気の遠くなる寂しさはあるし、目の前の数字に踊らされてしまう)、

葉っぱや花をかきわけてずうっと下を見て、

ちいさな仕事の根っこを見つめるように心がけている。

(初日の看板。ギリギリで書き上げたのでした)

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ABOUT US
鈴木 なりさ喫茶おおねこ店主
1997年 9月生まれ ちいさな農家育ち
2016年 青山学院高等部卒業
2021年 2月 武蔵野市で地域密着喫茶店「喫茶おおねこ」開業。以降ひとり店主として地域活動をスタート
2021年 3月 ICU(国際基督教大学)卒業
2023年 武蔵野市で地域密着喫茶店「喫茶おおねこ」のひとり店主をしながら、初めての選挙応援を経験(さこうもみ武蔵野市議会議員)
11月 政治活動を開始
12月 武蔵野市議会議員補欠選挙へ立候補